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クインシー 先生、師走って日本では12月のことですよね。でも本当は3月下旬から4月の中旬までなんですよね、日本の先生方の忙しいのは。昨年最後の対談は12月28日ですよね。先生けっこう暇そうにしてらした。師走というのに節句のことか、歌舞伎のことなど、楽しいお話しをしてくださいましたよね。
安曇野

昔の日本の暦は、壱月から始まり、師走で終わっていましたが、明治に太陽暦が採用になって、4月から3月までで、1年を区切る「年度」という概念が入ってきて、年末の忙しさの時期が変わったんですね。
あの対談は、お酒ッ気も入って楽しかったですね。教師妙利に尽きるとは、あんなことを言うんでしょう。

クインシー お蔭さまで楽しいお正月でした。暦の話から入ってしまいましたが、実際は、今が多忙を極めているようですね。中国と韓国に行ってらしたのでしょ。それと、入学試験、卒業式、新学期の準備など大変だったんでしょ。
安曇野 そうです。色々なことがバッティングして、穴をあけてしまい。皆さんに迷惑をかけています。本当に穴があったら入りたい。
クインシー そんなに恐縮しなくても良いんですよ。今日は、中国でのお話しを紹介して下さいませんか。
安曇野 クインシーと何を話そうかと迷っていたんですが、そういうことであれば沢山ネタはあるんです。私が訪問していた時期に丁度、全人代(全国人民代表会議)という日本で言えば国会にあたる重要な会議が開催されていました。
クインシー 今回の全人代で第11次5ヶ年計画が策定されたんですよね。
安曇野 そうです、ある大学の共産党幹部と話したのですが、ずい分と開かれた党になっているんですね。第10次5ヶ年計画の総括をめぐって、各級機関はもちろんのこと、学会や学生組織、地方の大衆機関などかなり広い範囲で改革開放をめぐる討論がされたそうです。
クインシー あたりまえと言えば、あたりまえのことですよね。
 
安曇野・・ そうなんですが、中国はプロレタリア独裁国家ですから、その様な手続はなかったし、方針も上意下達があたりまえでした。ということを考えれば驚きです。更に驚くことに、党が分裂する要素を含みながら大衆的な討論をし、その結論を見極めながら、今度の決定があったと聞いています。
クインシー 結構やるじゃあーないですか、小泉流を真似たんですかねぇー。
安曇野

そういうことですね、改革開放の速度をめぐる党内論議なのですが、この速度によっては、国家的危機、党の崩壊を招ねく恐れがありましたからね、堂々たるものです。

クインシー 結局結論はどうなったのですか。
安曇野 流れは変えられない。持続的に改革開放をすすめ9.2%の経済成長を達成しょうということです。それよりも何よりも面白かったのは、2015年位までこの路線を続けると、中国共産党は2つの党に分かれざるを得ないということを、党も、党員も認識しているということで、党のこれからをめぐる討論、組織論議がおこなわれたらしいですね。
クインシー それって、どういうことですか。
安曇野 前回か、前々回の党大会で中国共産党の基盤、層を厚くするために資本家の入党を認めたわけですね。確かに改革・開放の力になって、ここまで中国底力を押し上げ、世界の人々が驚異感じるようにしたのは、華僑と資本家なのです。
クインシー でも都市と農村と格差は100倍を越えていますよね。上海と西部の農村部と比べたら二、三百倍はあると聞いています。上海のキャリア女性の月給が3万元を超えているのに、地方の農家で年収が2千元ということですから、200倍ですよね。
安曇野 そうなんです「改革・開放」政策は、都市と農村の矛盾として現れると同時に農村問題、環境問題、エネルギー問題、人口問題、金融問題へと波及してきてるんですね。
クインシー どれ一つをとっても難問ですね。
 
安曇野・・ ええ、北京の下町の食堂でごちそうになったんですが、出て来るメニューの半分は日本の食卓に並ぶヘルシー料理でした、北京ダックも登場しましたが、油がよく抜いてありました。野菜煮も今までとは処理の異なっものが出て来ましてね驚きました。
クインシー 私も北京なら生活出来ますね。
安曇野 そういうことなんです。中国の都市部の現象だと思いますが、家族の食べるモノが違い、それぞれ勝手なモノを食べて、ごちそう様ということの様です。大衆消費社会に入って10年経ちますから、大型スーパー、コンビニ、テイクアウトを利用することになって、食生活が根本から変わったようですね。と同時に意識も変わってきた。
クインシー マレーシアでも日本料理は流行していますが、中国でもずいぶん人気みたいですね。但、中国人は「日本」だったら何でも良いですから、日本の悪いところも平気で吸収している。
安曇野・・ アニメに漫画、それと日本食と日本ブームなんですよね。反日暴動なんていう言葉自体が信じられませんね。韓国の日本大使館の周りは、すごい警備でしたが、中国では、普段のままでした。
クインシー 中国も家族の崩壊=「積木くずし」の世界に入っていくんですね。無宗教の中国ですね。
安曇野

崩壊するかもしれないと言っていますが、党組織がしっかりしていますからからね。

クインシー でも、中国共産党って資本家の政党と労働者の政党に分かれていくんでしょ。仲よく国民政党に脱皮したら良いんですがね。
安曇野

13億の人口を8000万人の党員が前衛として存在し、帰国留学生を中心にした頭脳が、テクノラートとしてエネルギー問題、食料問題、環境問題、農業問題、人口問題を解決していくという社会主義の新段階=新しい国家的実験の段階に突入していくんですね。

クインシー あ、先生は、そうお考えになっていらしゃるんですか。私は、労働者と資本家に分かれていくというよりも、10位の省、軍閥に分かれて、旧ロシア型の国家が誕生するのかと思っていました。
安曇野 毛沢東あるいは周恩来さんの逝去された1975年位に今日の事態が発生したら、紅軍、八路軍を含めて軍閥の指導者が台頭して今のアフカニスンのようになっていたでしょうが、現在の中国はシビリアンコントロールがきていますから、ご想像ような結果になることは、ありませんね。
クインシー なかなか、高度な分析をなさっているんですね。なにごとも暴力的に解決しないで欲しいですね。21世紀の地球上のルールとして、対話で解決していくたいですね。
安曇野 その通りなんですよ。民度の高い地域から実現していますが。全地球的規模で、国家間の争いごとの解決方法を合理的にしていかねばなりませんよね。
クインシー 国家間の問題だけではなく、国内問題についても、話し合いで解決して欲しいですね。
安曇野 そこが大切なんですよ。中国は、天安門事件などの解決について外国から言及されると国内問題だ、内政干渉など言ってきた訳ですね。今回党内の路線論争が公開された、今までとは異なる方法の解決を計ろうとしてきたことは前進ですね。
クインシー そういうことなんです。今回の全人代の中心テーマは都市と地方の矛盾の解決に重点が置かれていましたね。
安曇野

そうです、「三農問題」といって、農業、農村、農民問題の解決に重要な政策方針が示されました。

クインシー 農業税の廃止とか、農村部に於ける義務教育の無料化といったことですか。
安曇野 良く研究していますね。そうです。耕地租税をなくすことによって、農民の現金収入が増える。さっき言いましたように年収2千元という地域はゼロになります。
クインシー これまで、租税の部分的無料化はしてきたんですよね。
安曇野 はい。共同耕作地とか、日本で言う入会地などの租税は免除されてきましたけど、今回の農業税の無料化は数千年の中国の歴史で初めの試みです。それ程、大きな改革です。あとは、地方、郷鎮などの党幹部の腐敗汚職の除去が大きなテーマとなってきますね。人治から法治入って、先程の教授は言っていました。
クインシー 大躍進、文革といった政治主導の経済改革から経済主導の社会ずくりが始まったんですね。
安曇野 ええ、そういうことも言えますし、中国共産党が変しわったというか、新しい実験が始まった。歴史上初めての本格的社会主義建設の試みが、外国帰りのテクノ・エリートを中心とて、指導層として、はじまるわけですね。
クインシー ちょっとよく判りませんが、資本主義か社会主義か、自由経済か社会主義経済か、という二項では判断できない道筋を40代50代のシノワ・エリートが試行しはじめたということです。
安曇野

中国共産党の十年後をどこに導くか、ということも含めて21世紀の新しい国づくり[私としては社会づくり]の着手。と言ってよりのではないのでしょうか。

クインシー きっと、すごいことなんでしょうね。もう少ししっかりと勉強して、自分なりに消化してから質問させて下さい。
安曇野 そうですね。今日はここまでということで。で……今年のゼミ生は、女性ばかりで、もうワクワクしちゃいます。
クインシー ……。(?)