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クインシー あけましておめでとうございます。昨年は「マレーシア不動産プログラム」の開設に大変お世話になりました。2年目を迎え、本格的に始動していきます。
安曇野・・ “マレーシアシナークラブ”の会員募集が始まり、クラブとしての活動がはじまるんですね。これで、日本とマレーシアを結ぶ輪が拡がっていく。
クインシー それと、この半年間で色々な企業、色々な方とお知り合いになれました。仕事の提携や協力関係のお話もいただいています。日本の商習慣がやっと判りはじめて、日本の方々とのコミュニケーションのとり方も、それなりにスムーズになってくると思います。失敗の経験から多くを学んでいきたいと思います。
安曇野

常に控えめで、謙虚であることが大切なんですよ。現在の日本は競争原理がはたらく社会に変わってきて、だいぶ異なった面を持っていますが……。文化の底流を知っておけば、必ず役に立つ時がきます。

クインシー 小泉劇場も終章ですし、余程のことがない限り弱肉強食を是とする傾向から振り子が戻ってきますよね。先月お会いさせていただいた南雲先生のような方が存在しているだけで心強い思いになりました。
安曇野 彼は、まだ悩んでいますね。マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムといった国々が未だに宗主国との関係を清算しきれない状況、そこでの政治・経済・宗教の読み方、解き方を思索し続けています。
クインシー 山の中の旅館に閉じこもって、考え込んでおられるのですが。
安曇野 いやいあ、そんなことはありませんよ。お屠蘇で一杯やりながら、劇場中継を楽しんでいますよ、きっと。
クインシー そうですか、安心しました。昨年もそうだったんですが、日本最大の祝日は正月なんですね。留学生だった当時も、友人がみんな田舎に帰ってさびしかったですね。8月にお盆のお話を伺いましたが、お正月の休日が日本人の最大の休暇なんですね。
安曇野 ハイ。日本には「盆暮れ」という言葉がありまして、奉公に行っていた人が田舎に帰れる2つの長期休暇です。特に正月は新しい年を迎えるという意味で、「気持」の切り替えをおこなうチャンスなんですね。年賀状を書きながら、その年を反省をしたり、希望を繋いだり、新しい抱負や決意をしたり、日本人にとっては重要な時間なんです。この頃はコンビニが正月中も開いているので何の心配もありませんが、昔は店員(奉公人)が帰省していたので、一週間くらいは街中の店が休みでした。コタツに入ってみかんやお煎餅を食べて、カルタをしたり…。
クインシー 「四季がある」ということで、日本では折々に着るものも変えますし、新しい年を迎えるにあたって、一年間の反省や次の年の抱負をふくらますって素敵なことですね。
 
安曇野・・ 家を掃き清め、新しい着物に替え、歳神を迎えて祝う正月は、日本の伝統行事としては最大のイベントですね。今は、満年齢になっていますので、意識することはありませんが、私の小さい頃でしたら、全国民が一月一日に同時に一つずつ年をとったんです。「お目出度」って新しい年を祝って、屠蘇、雑煮をいただく。子供はそのあとの「お歳玉」が楽しみでね……。
 
クインシー 誕生会の楽しみがなくなりますね。それで、「歳神さま」って何ですか。
   
安曇野 日本社会は、この10年でいや、バブル崩壊した後の15年で大きく変わりました。21世紀を迎えてからは、超スピードで社会がアメリカ化していて、伝統とか、独自の文化が消滅しつつあって若い人の記憶に刻まれていないことが多くなっているんですが、「歳神」って8月のときにも話しました様に、お正月を迎えるときに来る神様です。
クインシー  キョンシーですね。
安曇野 お若い人なのに、なかなか知識も豊かですね。日本人にとってお正月を迎えることは特別なことなんです。12月31日までの風景が一変して、身も心も改まる。まあ、12月28日の仕事納め、大掃除から正月を迎える準備をはじめていきます。門松、注連縄、鏡餅、御節は全て歳神さまをお迎えする準備なんですね。
クインシー

年賀状を出すという習慣も面白いですね。でも、28日に出しても、元旦には届きませんよ。門松、注連縄、鏡餅、御節の意味をというか、語源を教えていただけませんか。

安曇野 色々と言い伝えはありまして、地方地方でも習慣が異なっていますので、正確でないということをお断りしておきます。で、お正月って元旦を意味することもありますが、歳神様がそれぞれの家に逗留している期間のことを意味し、鏡開きの1月15日までです。今日的には7日間、人日(じんじつ)節句に七草粥をいただいて、納めています。
クインシー ああ、そうなんですか。
安曇野 で、まず門松は歳神さまが迷わないように、安曇野家に来ていただくための目印です。注連縄は神様にお座りいただく場所、結界です。鏡餅は、神様に食べていただく神饌の主食です。[京都では、歳神様は、鏡餅に鎮座するといわれています]「御節」も神様にいただいていただく御節供、祝いの料理です。
クインシー お正月の全体構造が、だいたい判ってきました。神様にご来臨いただき、神饌のおさがりを人々がいただくわけですね。
安曇野 ずいぶん日本文化に精通してきましたね。20代の若者の常識にはなっていませんよ。
クインシー 有難うございます。えーっと、お屠蘇って中国から来たものですよね。
 
安曇野 おっしゃる通りです。でも平安時代には入ってましたよ。庶民に広まったのは江戸後期位だと思いますが。宮中では、蘇(鬼)を屠う薬(酒)として飲まれていましたね。お酒は体を清め、禊ぐ。新年迎える気持ち改め、新年を祝う。
クインシー 先生の話には出てきませんでしたけど、「お雑煮」には、どういう意味があるんですか。
安曇野・・ ハイ、ハイ、はい。お雑煮は字の通りで、色々なお供えもの(御節)と、鏡餅を切りわけて煮たものです。
クインシー 地方地方によって違っていると聞いていますが。
安曇野

ここからは、食文化の話に移行してしていきましょう。私は関東の人間ですから、おすまし仕立てで「江戸雑煮」なんです。京都に来て20年くらいになりますが、「京風の白味噌仕立て」はいただいていません。雑煮って、それぞれの家庭でも異なっていますし、地方地方の食材をうまく生かしていますよね。

クインシー 先生のお宅では……。
安曇野 すまし仕立ての汁に角もち、里芋、人参、鶏肉、小松菜、浅草のりなどが入っています。
クインシー 暖かくて、おいしそう。あと、祝い肴は付くんですね。
 
安曇野 よくご存知ですね。もう少し詳しくお話します。「御節」って、先程申しました様に、歳神さまへの神餞、そのお下がりをいただく神人共食、神様のあらたかな霊力をいただくということです。その「おせち」を重箱に詰めて、正月の食卓を飾ります。それがお節料理。あとは人間世界の話で、食のバランス、縁起、ゴロ合わせ、それも民俗学的に特色があって……。
クインシー 「お重」って三ツ重ねなんですね。
安曇野 はい、三ツ重ねが標準です。「一の重」に祝い肴が入っているんです。酒のアテですね。えーっと、黒豆、数の子、ごまめ。関西では、ごまめに変えてたたき牛蒡。
クインシー 縁起、ゴロ合わせも教えてください。
安曇野・・ 黒豆は、黒々と健康でマメに働く。数の子は卵の数が多いので、子孫繁栄。ごまめは「五万米」「田作り」とも言って五穀豊穣。昆布はヨロコブ。海老は腰が曲がるまで元気に、…etc。
クインシー 面白いですね。いずれも保存食ですね。
安曇野

そうですね。15日間の食材ですから…。一応申し上げておきますけど、「二の重」は、魚とその加工品、「三の重」は煮物となっていますが、今日では食生活の変化や欧化から、ローストビーフからウインナー、中華料理まで雑多に詰まっていまして、子供中心の家庭でしたら、根本からお節の構成が変化しています。

クインシー あと、「年取り魚」についても教えてください。
安曇野 メデタイという語呂から鯛のお頭付きは、必ず我が家の正月に登場してきますが、鯛は別にして年取り魚って大晦日に食べます。我が家では、年越し蕎麦、蛤のお吸い物、鮭か鰤の焼き物をいただき、新年を迎えます。
クインシー まいりました。まだまだ不勉強だということを思い知りました。五節供という季節に合わせた祝いごと、地方地方の文化が健在であることが、この文化的重厚さを保障しているのですね。
 
(2006年1月2日)
新年初煮会
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  正月七日新年初煮会に参加しました、大変楽しかった!